COLOR SOLUTION伝わる色の考え方・使い方

色の基礎から応用まで仕事で使える色彩学

#03

基礎編

マンセルカラーシステム

表色系の中で、一般性が高いのはマンセルカラーシステムでしょう。プロダクト製品のカタログなどでも、製品色の参考値として掲載されていたりします。ですが、わかりにくいという声もたくさん聞きます。また逆に色見本ありきのシステムですから、正確さに欠けると言う意見もあります。少し詳しく見ていきましょう。


時代に呼応して開発されたカラーシステム

マンセルカラーシステムは、顕色系の代表的な表色系で、色見本で捉える形になっています。アメリカの画家であり色彩学者であったマンセルが1905年に発表したわけですが、当時のアメリカは初の自動車の量産タイプが注目され有名なT型フォードなどが生産され始めた時代ですから、他の分野を含めて工業製品の色彩設計等も意識されはじめ、使いやすいシステムとして受け止められたことでしょう。但し、個人が色の差異や距離感を判断して作成した色の見本がもととなっていますので、使いこなすためには整理が必要となり、1943年にアメリカ光学会が視感評価実験をして修正し、光学的数値などでも均等に並ぶシステムにして発表します。これが修正マンセルシステムで、日本でもJIS(JAPAN INDUSTRIAL STANDARD=日本工業規格)として使われるようになっています。

マンセル記号の書き方

色を「色相」「明度」「彩度」の三属性でとらえ、「色相 明度/彩度」というマンセル記号で表す考え方です。マンセル数値は、色相 明度/彩度という表記方法を用います。
三つの属性ですから、色立体という体系になっていますので、一見だけでは内部のほうがどうなっているのかわかりにくいという印象を与えてしまいがちです。そこで一つずつ見ていきましょう。

色相-------色あいの違い

まず色相は、赤や青などの色あいの違いを意味しています。赤、黄、緑、青、紫 (それぞれR、Y、G、B、P)の5つを基本として 、さらにそれぞれの間の黄赤YR,黄緑GY,青緑BG,青紫PB,赤紫RPを加えて10の色相としています。マンセルはさらに細かくその10の色相をそれぞれ1~10に区分して100色相としました。実際にシステムとして学ぶ場合、アメリカの美術系の学校では基本のR-Y-G-B-Pの5色相で教えているという例もあるようです。

ここでは、日本のJISで扱っているように10の色相を2.5―5―7.5―10の4分割にした40の色相環を見てみましょう。

図:マンセル表式系の3属性の表示とマンセル色相環
※マンセルの40色相環/日本カラーデザイン研究所作成

同じRの中には紫みから黄みの赤のように少しずつ変化した色が含まれます。日本の伝統色名でいうのは難しいですが、紅~赤~緋~朱に近いでしょうか。

4分割したRの色相

Yでもオレンジ寄りからかなり黄緑のように見える色までがYに含まれます。10GYになると黄緑にようにも見え、この辺りは、日常的な捉え方とシステムのギャップを感じる方がいるかも知れません。

4分割したYの色相

Yの色相は、日本の色名より、バナナ~イエロー~レモン~ライムと言った方がわかりやすいかもしれません。

明度―――――明るさの度合い

図:明度

明度とは明るさの度合いです。理想的な白を10、理想的な黒を0とし、10等分した数値を使って表しています。理想的な白というのは光を全部反射してしまう状態で、理想的な黒とは光を全部吸収してしまう状態を言っているため、物理的に表示できません。そこで一般的には1が黒、9.5が白というように代表させています。黒漆喰等と言われるものは明度3くらいで、概念的にはこれも「黒」に含まれたりしますし、明度8.5くらいでも太陽光のもとなどでは十分白に見えて、「あの白い~」などと形容されて話されます。
グレーの明度でわかりやすいのは、よく見かけるコンクリートの打ちっ放しの色でしょう。乾いた状態で明度7.0で表すことができます。これを基準にしておくと街の中の色の大体の数値がわかります。
要素が、明度だけの色を無彩色とよんでいます。
表示の仕方はNEUTRALの頭文字をとってN8.0 という表記をします。

彩度――――――――鮮やかさの違い

マンセルの三属性の中で、彩度が一番わかりにくい属性と言っていいでしょう。色の鮮やかさの度合いを示しています。 彩度をもたないグレーに純色を加え、みた目で変化したところを1,0という彩度にしたと言われているように、最初は考案者マンセルが感じた段階(感覚的等歩度)の数値で1,2,3、という彩度が決まったようです。下に示したように、色相によって最大彩度を示す明度の位置が異なっています。これもマンセルというシステムのわかりにくさの一因といえましょう。しかし逆にとらえると、素材などの技術革新により、新しく表現できるようになった高彩度色などをこのシステムに加えることができる融通性を持っているため、現在でも使い続けられているのです。

図:彩度1
※マンセル色票を参照し日本カラーデザイン研究所作成

大まかに知っておきたいことは、彩度2以下は低彩度というグレーに近いグループです。これはどの色相でもまあまあ同じ傾向です。更に低い彩度0.3以下ぐらいになると、一般的な捉え方としては無彩色に分類してもいいのではないかと思われます。
ところが中彩度、高彩度という区分は色相によって異なってきます。赤系や黄赤系、黄系等は彩度15などを示す色がありますが、青系になるとそこまでの彩度は出にくい性質を持っています。同じ彩度9という彩度で見ると、黄赤では9では、もう高彩度の印象は薄れてきますが、青という色相では、非常に鮮やかな印象のある高彩度グループに入ります。

図:彩度2
※マンセル色票を参照し日本カラーデザイン研究所作成

※参考/そこで、理解の仕方としては、トーンという考え方を取り入れるのも一つの方法です。
どの色相でも、最も高彩度の純色に近い色を、明度とは関係なく高彩度色グループとするという捉え方です。

図:トーン分類の考え方

時代や文化に合わせて使いこなせるマンセルカラーシステム

最近は青系でも、もっと彩度の高い色が開発されてきたそうですが、そういった色もこのマンセルシステムの中に組み込んで理解できるというメリットも持っていますから、様々な自然の色の測定や新しく発色性のよい材料等の特徴も知ることができる柔軟な、人間的なシステムとして見直してみたらいかがかと思います。

マンセルカラーシステムを理解する際には、色見本自体を見ることを勧めています。「習うより慣れろ」が色を取り扱う基本です。数値が示すいろいろな色の表情の違いに触れてみるのがいいでしょう。

ただ、欧米の感覚を元としているため、基本としている2.5-5-7.5-10の区分では日本文化で長く愛されてきた藍の色や自然素材の色等が表現されにくい点があるのも否めません。よく使われる赤系統では6Rという区分も必要ですし、 藍染めの中~暗めの色では6PB という色相が重要になってきます。自然の土や木の色等をとらえる際には1Y という色相も必要です。

図:色相の分類

でもこういった比較考察ができ、間の色相の色も表示できるシステムであるということが活用しやすい一面だと思います。

色見本での測色や測色計での測定で、身近な色を測定していると、ちょっとした明るさや色合いの違いを敏感に読み取っていることを感じる場合があります。体調が悪いと青ざめて見えたり、くすんで暗めに見えたりというように、人は周囲の人の「顔色を見る」優れた能力を持っているのが実感できたりします。マンセル数値でいろいろな分野の色の特徴を探ってみていただきたいと思います。

Text by 日本カラーデザイン研究所

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