COLOR SOLUTION伝わる色の考え方・使い方

色の基礎から応用まで仕事で使える色彩学

#02

ビジネス編

色彩とマーケティング

色彩によるセグメンテーション

色彩とマーケティングについて考えてみましょう。カラー別売上データから考えていく方法や、ターゲットのセグメンテーションに活用する方法があります。

一般的に、ターゲットを考える際には、以下のような変数によってセグメントすることを検討するでしょう。

・地理的変数/国、州、地域、郡、都市、地元エリア・気候など
・デモグラフィック変数/人口動態データ的変数 年齢、性別、家族構成、所得、教育水準、宗教、人種、世代、国籍、社会階層
・サイコグラフィック変数/心理傾向による変数/趣味嗜好、興味関心、価値観、パーソナリティ
・ビヘイビア変数/行動面による変数/購買行動、購買歴、求めるベネフィット(経済性、機能性、デザイン性)

色彩の嗜好調査や、売上データからみて、関東と関西では傾向が違うことがしばしばあります。同じブランドでも、店頭に並べる商品は異なっています。また、気候の違う地域はそれぞれ独特な色使いやセンスを持っている事例を見つけ出せます。地理的変数が重要であることもわかります。

年齢や性別でも別々に集計すると明らかな差が出てきます。男性は黒や青といった色を好む傾向がありますが、女性はピンクやラベンダーなどを好みます。デモグラフィック変数はよく用いられていますが、これもなかなか有効でしょう。

衝動買いをすると回答する人は、「トレンドカラー」に反応するのはもちろんですが、色の中でも彩度の高い明るいトーンに反応することが認められます。購買行動や生活行動といったビヘイビア変数も色への反応の違いを捉えられます。

それでは、逆に「色彩の選び方」からセグメンテーションしたら行動も読み取れるのか。ここでは、色彩嗜好によるセグメンテーション手法「感性ライフスタイル分析」を紹介しましょう。


人の心は色に出る

セグメンテーションの中で、心理面に着目し、好きな色・好きなデザインでセグメンテーションする手法を感性ライフスタイル手法といいます。

好き嫌いが形成されるのは、前述した地理的条件、デモグラフィック属性、心理的傾向、行動性の違い、さらに、それらを規定する時代の価値観によるもので、多様な好みが共存している日本の市場の把握に役立ちます。この手法で毎年定期的に調査を行なっていますが、同じような嗜好傾向の人たちが常に存在する一方で、好不況など経済的な状況によって選択されるものが変化することも明らかになっています。

日本の文化の特性として、眼で見て捉えるタイプ、手で触って触感を大切にするタイプ等五感をもととする感性が発達している傾向があります。色の選択その影響が色濃く出てきます。例えば、素材感を重要視する人は、高彩度の色は好まない傾向を持っていたりするのです。
そのような選び方の違いを毎年とらえていくと、その時代で重要視されている価値観や要素を読みとっていくことができるとも言えます。

日本では、かつて総中流時代と言われた時代に、その中流の中の細分化の為に嗜好による分類は力を発揮しました。マーケティングの本場アメリカとはことなり、実際に手で触ってみたがるような、質の違いに細かい日本の特性を理解するために開発された手法だからです。さらに、日本文化の繊細さは、人とは少しでも違うものを持ちたいという欲望の結果、似ているのだけれどちょっと違うもの、「微差」を求めて出来上がってきたのではないかと思われます。そのような文化性を持った日本市場ですから、現在、富裕層と下流に二極化が注目されていますが、その二分割だけでなく、富裕層も下流も、さらに細かく見ていく必要があるでしょう。


感性ライフスタイルから捉えた女性の嗜好傾向

ここでは2014年1月の調査結果から、女性での上位3タイプの傾向を見てみましょう。ピンク系が好きな女性らしい嗜好のタイプが最も多くいます。次の2つのタイプが注目されます。ブルー系の方を好んでいることがわかります。21世紀になってピンクを好む女性が多数派でしたが、今年のデータでは変化が見られたということです。ヘルシーさやナチュラルさといったイメージを重視していることもあげられます。不況などで生活防衛的な傾向が強まると健康重視の傾向が強まるのはこれまでもみられた傾向です。ちょうどその様な経済状況であることと、さらに、可愛らしさを求めるヒトの減少の傾向が重なり、この結果となったようです。


世代の違いも重要な日本市場

細かく見ていくと、日本では、時代の変化が激しく、世代によっては慣れ親しんだメディアも、テレビ、雑誌、ネットというように変化しましたから、育った時代の社会環境の影響がかなり強く見られます。その様な年齢の差による「世代の好み」の差もキチンととらえて、今後の若年層やシニア層への企画に活かしていくことが重要でしょう。

事例として、女性の配色の好みで見てみましょう。

加齢による変化と、長く持ち続けた各世代の嗜好が重ね合わさった結果としてみていただけたらいいと思います。

ここにあげた年齢層より若いサトリ世代と言われる現在学生くらいの年齢の女性は、ピンクへの嗜好傾向は弱まり、明るいブルー系を好み、シンプルですっきりしたデザイン嗜好が強まっているデータとなっています。

市場のボリュームを構成する世代、市場に新規参入してくる、これからを担う世代の嗜好傾向・デザイン選択の傾向には常に気を配っていく必要があります。


海外市場の把握にも役立つ色彩調査

このような色票や配色を用いての調査は、非言語型の調査手法として海外の市場の把握にも役立ちます。色を答えてもらい、その背景を探る方法論は、価値観の違いを浮き彫りにしてくれます。
日本でも、色彩やデザインの選択理由について多くを語れる回答者は少ないといえましょう。何となくであったり、今日はそんな気分、という程度の回答も多く見られます。そんな言葉にしにくいものでも、色を複数選んだり、色の組み合わせ(配色)を選んだりすると、そこに何らかの共通性を見出すことができます。何が要因だったのか考察していくことが可能となってくるのです。海外の調査ではなおさらですが、色彩を用いた回答は様々な仮説を立てることが容易になりますので、他の調査と併用して行なうことをお勧めしています。

※Text by 日本カラーデザイン研究所
http://www.ncd-ri.co.jp/

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