PRODUCTS色で伝える東洋インキプロダクト

PRODUCTS 01カレイド

RGBのイメージをそのままに。
広演色印刷を実現する

08Kaleido&Randot Xでより美しい印刷を体験!

高精細印刷とカレイドインキが
高品質印刷表現の扉を開く

今回の実験は、いつもと雰囲気を変えて「正統派進化形」印刷、FMスクリーン&カレイドインキを試します。これまでは通常のAMスクリーン175線を使っていましたが、今回は代表的なFMスクリーン「Randot X(株式会社SCREENグラフィックアンドプレシジョンソリューションズ)」で「かなりいいふつう」を目指します!
FMスクリーンで何が変わるのか、どんな期待が持てるのかを説明する前に、まず一般的なFMの特徴を、現在一般的な印刷方式のAMと比較してみましょう。FMスクリーンは、

  • 網角がないので網起因のロゼッタパターンモアレは発生しない。線数の概念がないため干渉縞も発生しにくい
  • AMでは線切れしてしまうような細線、網点化されて読めなくなってしまうような薄い文字など、精細な表現に対応できる。350ppi程度の画像では画素の矩形まで判別できる
  • 同じ大きさのドットの粗密で表現するので、特にハイライトの濃度変化を滑らかに表現できる
  • 小径ドットにより光学的なドットゲインが上昇し、彩度向上が望めるため、同じインキでも色域が拡がる
  • 小径ドットによるインキ皮膜厚さの抑制効果により、インキ使用量の削減を見込める

などの、おもにクリエイターを支える表現力の向上がメリットとして挙げられます。逆にデメリットとしては、

  • AMのような規則的な配置ではないので、平網部分にザラツキを感じることがある
  • AMとはまったく違うスクリーニング方式なので、これまで通りのAMと同じ色味にするには調整が必要(どこで調整するか、はフローによります)
  • 極小のドットを正確に出力し、安定して印刷できる技術力が必要

など技術的な難しさが挙げられます。
このデメリットの克服を目指し、各メーカーから非常にバラエティに富んだ「非トラディショナルAM」スクリーンが発表されています。

今回使用する「Randot X」は網角を持たない純粋なFMスクリーンですので、カレイドインキと組み合わせることでより広い色域、より滑らかな濃度変化が期待できます。またFMならではの高精細表現は最も期待するところです。
今回のサンプルイラストは、「普段のお仕事のようなストイックさは完璧に忘れて、印刷のことはまったく気にせずに、好きなだけ極限まで描き込んでください」と無茶をお願いして、イラストレーターのhamkoさんに描いて頂きました。柔らかなグラデーションと微細表現を、広色域インキと高精細FMスクリーンのウルトラスムースな印刷でお楽しみください。

AM/FMスクリーンとは?

オフセット印刷はインキが紙に乗っている/乗っていない、の2種類の状態しか作ることができません。部分的に自由にインキの濃さ自体を変えることができないので、濃度変化を表現するには視覚的に識別できない程度の範囲内でインキで塗られた面積比率を変えます。インキがのっている「真っ黒」とのっていない「真っ白」の間、中間調をどうやって表現するのか。

いろいろな方法がありますが、オフセット印刷では大きく2つにカテゴライズされます。AM(Amplitude Modulated)スクリーンは図のように整然とグリッドに沿って並んでいるのが特徴です。このグリッドを塗りつぶす面積を変えて濃度差を表現します。最も一般的で安定性にすぐれた方法で、現在でもほとんどの印刷物はこれで刷られています。カラーを表現するには、グリッドの干渉モアレが目立たなくなるよう角度をつけて重ねあわせる必要があります。またグリッドサイズよりも細かいディティールの再現には限度があります。FM(Frequency Modulation)スクリーンには目に見えるグリッドはありません。AM175線2%の網点と同程度の小さい点を、大きさを変えずに密度を変えて配置することで濃淡を表現します。この小さな点を安定して刷れる高い技術が必要で、また受け止める側の紙の性質にも影響されやすく、難しいスクリーンだと言えます。

Randot Xとは?

今回使用したFMスクリーン、Randot Xは、極小ドットの刷りにくさの緩和や平網部のザラツキ解消を狙った、中間濃度部の独特な形状が特徴です。FMは濃度を密度で表現するため、点と点が接する濃い部分でトーンジャンプが起きがちでした。点の接する濃度をあえて下げてやることでジャンプの解消と、十分な面積を持った線にすることで印刷適性の向上、またノイジーになることを防いでいます(サンプルは公式パンフレットより)。

その他の非AMスクリーン

FMはざっくり分けると網角を持たない「純粋FM」、刷りやすさや印刷効果などAMの利点も取り込んだ、網角を持つ「AM/FMハイブリッド(XM)」があります。「Fairdot/Fairdot2」(SCREENグラフィックアンドプレシジョンソリューションズ)は正確にはハイブリッドですが、網角を持たず見た目もFMに近いものです。「TAFFETA」(富士フイルムグローバルグラフィックシステムズ)は純粋FMで、粒子分散を最適化するアルゴリズムを用いて、ザラツキを低減させています。「Staccato」(コダック)も純粋FMで、ドット径のバリエーションが非常に多く多様な紙に対応できます。「:Sublima」(日本アグファ・ゲバルト)はハイブリッドで、中間調はAM、ハイライト・シャドウをAMドットをFM的に間引いて階調再現性を向上させ、刷りやすさ、安定性を両立させています。
「:CristalRaster」(日本アグファ・ゲバルト)は純粋FMです。

恋文日和
Illustration by hamko
Sleeping Beauty
Illustration by hamko

下部の構成は、AMスクリーン175線、FMスクリーンRandot X 20μmの同一のイラストが見開きになるようになっています。どちらも使用インキはKaleidoインキです。本来、データを変えたり出力時に調整したりしなければ見開きの色は揃いませんが、スクリーニングで色が変わることを見るために今回はあえてデータは同一のものを使用し、出力調整も最低限に留めています。またこのイラストは、印刷の限界を見るためあえて非常に細かい描き込みを実験用として依頼したものです。

FMとAMどこが違う? みどころをチェック!

階調表現

CMYK数パーセントの柔らかいグラデーションが特徴的なイラストですが、FMの恩恵が最もわかりやすいのは『Sleeping Beauty』の服のグラデーション。CMYK 0%の真っ白からゆるりと立ち上がるグラデーションが、FMスクリーンではトーンジャンプが目立たず白から滑らかにつながります。AMも健闘していますが、比較すると多少段差が見えてしまいます。『恋文日和』の髪の毛や花のような小さい面積のグラデーションや、背景の大きなグラデーションの滑らかさも注目してください。Kaleidoの素直な発色とあいまって、とても心地よい仕上がりです。右のカラーチャートでAMとFMの階調表現の違いを比較できます。特にハイライトの立ち上がりや、Randot Xならではの中間調のノイズの少なさを見てみましょう。比べると中間調はむしろAMのほうがロゼッタパターンが目立ってノイジーに見えます。

精細感

『恋文日和』元データの右上を拡大しました(左)。
斜めに走る線や丸が、AMでは少しがたついて見えます。『Sleeping Beauty』の額縁(右)では、元データにある斜めの万線がAMではぼんやりしてしまっています。FMでは細かな模様まで、ほぼ意図どおりに元データを再現しています

『Sleeping Beauty』のデータには、草のテクスチャが描き込まれています。AMではノイズ状の汚れにしか見えませんが、FMではきちんと草の輪郭がわかります

下のように20μm以上の大きさであればきちんとテクスチャを拾うので、K100%以下の文字にもFMスクリーンは有効です。K50%の明朝体をグラデーションに乗せていますが、FMはより読みやすく見えます

FMスクリーンを使ってみたい! その前に

作り手にはメリットの多いFMスクリーンですが、いくつか注意すべき点があります。次ページからのイラストでKaleidoインキの素直で広い色域とFMスクリーンの組みあわせの可能性を感じてみてください!

アート・コート紙以外への印刷は注意する

通常のFMスクリーンは粒径が20μm、AM175線の2%網点程度と小さいので、ザラザラの紙への印刷は輪をかけて難しくなります。印刷会社によっては粒径を大きくする対応をとったり、またはAMをすすめられることもあります。

変換プロファイルが異なることがある

Japan Color 2001 Coated(2011Coated)以外でのFM専用のICCプロファイルを使ってCMYK変換することがあります。AMスクリーンとFMスクリーンの色の違いはある程度印刷会社で吸収していますが、FMによって少し拡がった色域を生かすために専用プロファイルを使ったほうがよいこともあります。

見本を確かめ、相談して仕様を詰めよう

FMスクリーンを商品としている印刷会社であれば印刷見本を作っているはずです。見本と同じ紙などの仕様であれば、印刷仕上がりがある程度想像できますね。データの作成方法、入稿方法などは必ず、印刷会社に問いあわせてください。

Kaleido +AM 175lpi
Kaleido + Randot X 20μm
Kaleido + AM 175lpi
Kaleido + Randot X 20μm

※この内容は、『+DESIGNING 』2015年9月28日発売 (vol.40)に掲載されています。
http://www.plus-designing.jp/pd/pd40/pd40.html

BACK NUMBERバックナンバー

08Kaleido 3C+グリーンでさらにあざやかな色表現を

記事をみる

07Kaleido 3C+グリーンでさらにあざやかな色表現を

記事をみる

06Kaleido 3Cプロファイルで新たな表現を目指す

記事をみる

記事の一覧へもどる

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Clip to Evernote