Kaleidoカレイド

株式会社学研ステイフル
まるでレントゲンのように"暗闇に浮かび上がる美しい骨格"を再現
カレイド
東洋インキの広演色インキ「Kaleido」の特性を最大限に活かし、蛍光感のある人体骨格を生み出す
「学習研究社」(持株会社制に移行し、現在は「学研ホールディングス」に社名変更。)の「トイホビー事業」を引き継ぐ形で創設された「学研ステイフル」。主にステーショナリーや雑貨開発、知育トイ事業などを行っている同社から、2012年11月に発売された「人のからだ」シリーズのクリアファイルが好評です。まるで本物のレントゲン写真のように、透明感のある色鮮やかな発色は、東洋インキの広演色インキ「Kaleido」で実現。その制作秘話を、企画製作部の成田さんに伺いました。
「学研の科学」という雰囲気を生かしたステーショナリーを。
「『人のからだ』シリーズは、学研グループ企業の出版物の、人体系の図鑑や立体パズル、出版業界でも細胞の写真集などの売れ行きが好調だということを聞き、ステーショナリーでも人体系の製品を作ることができないかということで企画しました。クリアファイルにすることで、病院で見るレントゲン写真のようなサイエンティフィックなものができれば面白いなと思ったんです。"学研の科学"というイメージを活かしたグッズになればいいなという想いもありました。それと、透明標本という、魚やイカなどのホルマリン漬けのボトルを商品にしたものも人気があると聞き、キワものブームが来ているのかなと(笑)。
クリアファイルは販売開始から好調で、すでに増産もしています。当初ターゲットは、理科系の大学生や男性を想定していたのですが、蓋を開けてみると、意外に女性の方も反応が良かったです。色合いも、人気アニメの世界をイメージしたものを取り入れるなど、分かる人には分かる"掴みどころ"も取り入れています。
「Kaleido」との出会い、細部までこだわり抜いた制作過程。
「企画の段階で、レントゲン写真のように発光して見えるクリアファイルが作りたいなと思っていたところ、ちょうど製作スタッフの1人が、東洋インキさんの広演色インキ「Kaleido」の説明会に参加した後だったんです。蛍光インキや特色を使った商品を作りたいという私の想いと偶然にもタイミングが合って、「Kaleido」の存在を教えてもらいました。実際の印刷見本などを見せていただいて、本当に企画のイメージにぴったりだったので、社内でとても盛り上がったのを覚えています。
Kaleidoでレントゲンのように発光した色味を再現
制作段階では、デザイナーにいかに「Kaleido」の特性を活かした色味を再現してもらうかということにこだわりましたね。グリーンやマゼンタの色域が広いということだったので、より蛍光っぽさが出るような色味を入れた方が良いと思い、ブルー×ピンク、イエロー×ブルーなどの色の掛け合わせで統一しました。あまり色を入れると濁ってくるので、なるべくシンプルな色使いにすることも心がけました。
とはいえ、一回目の入稿ではそこまでイメージ通りにはいかなかったんです。もっとキレイに色がでるはず! ということで、印刷するクリアファイルの素材自体を透明度の高いものに変更して、さらに色味がキレイに見えるように工夫したんです。入稿データも、人の目により鮮やかに映るようにプロファイルを調整するなど、試行錯誤を繰り返していきました。2回目の入稿では、努力の甲斐あって、イメージに近いものが上がりました。ただ、もともと透明度の高いインキなので、今度はバックのスミ部分が透けて見えて、人体とのコントラストが弱くなってしまったんですね。そこで、別のインキを組み合わせるなど、いろいろと工夫を重ね、漆黒感を出すことに成功したんです。
でき上がった時は感動しましたね。弊社の製作スタッフをはじめ、東洋インキさんの皆さまの知識と経験によって実現できた商品です。「Kaleido」でなければここまで鮮やかで発色の良い骨格を浮かび上がらせることは不可能だったので、この出会いに感謝しています。実はこの商品、初めから発売が予定されていた訳ではなく、私が、個人的にやってみたかった企画が通って完成したものだったので、感動も大きかったんです。今後も、「Kaleido」の透明感を活かせるようなグッズをいろいろと作ってみたいですね。これまで世の中になかったものを生み出していくこと、が私たちの使命だと思っているので。」
※本記事の内容は原稿作成時2013年1月時点のものです

成田 沙樹子さん
株式会社学研ステイフル
企画制作部商品企画課